2013年9月30日月曜日

ロードバイクにおけるスルーアクスルに関して

最近のMTBでは標準規格になっているスルーアクスルだがロードは未だに9mmQRしかない。じゃあロードのアクスル剛性を高くしよう、となるとスチールシャフトにナット締めになってしまうがこれはさすがに不便すぎる。アクスル剛性やベアリングの回転抵抗、ホイールの固定力などを考えるとこの古風な方式が最も優れているのだけどそれはまた別のお話。

で、どうしようとなった時に辿り着いたのが初代Saint。このハブはスルーアクスルの過渡期のモデルなので、リアハブ(FH-M800)が10x135mmのスルーアクスル。難点は超弩級の重量(約500g)。

 エンド幅を詰めるのはこのハブにおいてはすごく簡単で、左側エンドキャップを5mm短縮するだけ。エンドに当たるのがアクスルになりローレット加工がなくなるが、非ドライブ側なので特に問題なし。それにしてもこのハブいじり甲斐があって非常に楽しい。

 そんな感じで加工が終わったハブがこちら。
 ハブの表面処理がしょぼかったのでアルマイト落として磨きました。
入りました。
ちなみにこのアクスルはシマノ純正ではなくFIREEYE製(おそらくNovatecのOEMか、酷似した製品があるので)。これでばっちり。

実走した感じではトルクを掛けて踏んだ時にリアがしっかりしてていい
ただ、さすがに重さもハブとはいえど流石に500gになると多少なりとも感じる。

今後としてはフロントにも導入したいが如何せんディスクハブしかないのでフロントホイールにおちょこがついてしまうので本末転倒で却下。
focusが新規格満載のディスクロードを発表していたので少々気になるところ。

大径プーリーに関して

最近ではだいぶ知名度が上がった大径プーリー、ノーマル11Tを13Tとか15Tにしてプーリーの回転数及びチェーンの曲がる角度を小さくしフリクションを減らすことで最大数Wロスを削減できるとかできないとか。

アッセンブリ交換出来るパーツとしてはBERNERくらいのものでそれがまたアホみたいに高い。そんな眉に唾つけたくなるようなパーツに大判はたくのもどうなのよってことで結構自作している方が多いように思う。自作にあたっての選択肢としては
・ロングケージの爪を折って大径プーリーをそのまま付ける
・上の進化系でロングケージにチェーン落ち防止のガイドを延長する
・純正でプーリーの大きいディレーラーを使用する
・上の進化系でプーリーの大きいディレーラーのケージを流用する
・ディレーラーケージをイチから作ってしまう
と5つ程度ある。

まず1つめに関しては危ないの一言。すぐチェーン落ちます。ちなみにロングケージを使うのはショートケージだと大径プーリーを入れた時にチェーンに無理な負担がかかるorチェーンが通らないから。

次に2つめ。チェーンガイドはあまり力がかからないので、まあ現実的。ただあまり横に出っ張るとスポークとの干渉もあるのでほどほどに薄く、且つ強く作る必要がある。

次に3つめ。入手性で言えばALTUS等の低グレードで13/15Tプーリーを使用するディレーラーがいいように思う。あるいは13/13Tの77デュラGSなども入手できればありかもしれない。これに関しては純正で大径なので信頼性は十分、低グレードRDの場合はベアリングつきのサード製大径プーリーに換装すればOK。

次に4つめ。これは3つめのパターンで挙げたRDのケージを適当なRDに使おうというもの。77デュラに関してはRD-7800、RD-7900、RD-6700、RD-9000、RD-6800に軸径的に互換性がある(要加工)。ALTUS等の低グレードRDの方は数が多いので、いくつかを挙げるが、RD-5700、RD-6600、RD-4600等に互換性がある(同様に要加工)。

最後に5つめ。 これは技術と設備と根気が必要。某有名ブロガーさんとかもやっていたりするアレ。


で、私がどのパターンを選んだかというと3つめのパターン。
と言っても実際に加工したのは1年近く前になるが。

組み合わせとしてはRD-5700とRD-CT95。
この流用をする際に問題になってくるのはケージ軸の固定方式の違いである。
どう違うかというと、RD-5700ではネジが切ってあるシャフトをケージ軸の溝にハメることで固定しているが、一方でRD-CT95等のディレーラーはEリングを使って固定してあり、ケージ軸にはEリングがハマる細い溝だけが切られている。

そこでその細い溝をRD-5700と互換性を持つようにケージ軸を削ることが主な加工となる。

削りました。
加工前の画像がないのでいきなり加工後。

あとはディレーラーに組み付けて干渉する場合は適当に削って終了。
ちなみにここで使うスプリングだが、私はRD-5700ショートケージの
スプリングを差し込む穴を開け直すことでプリロード高めに設定し使用したが、ロングケージ用のスプリングを使ったほうがいいかも。特に問題がなかったので未検証。

シマノ11sに関して


シマノ11sが市場に出てそろそろ1年くらいになるが、11sを導入するにあたってフリー交換ないしハブ交換、あるいはホイールの買い替えが必要になるためなかなか踏ん切りが付かない人も多いかと思う。例外としてReconの8~10sフリー(以下8sフリー)互換の11s用スプロケも出ているが、値段も高くアルミ製、その上サードのスプロケなので変速性能も落ちるという三拍子揃った(?)製品であるのであまり選択肢としては残らないかと思う。

で、8sフリーのホイールで11sスプロケ使えたらいいよねっていうのはだれでも考えることかと。実際にやってる人もちらほらいて、まあ結論から言うと8sフリーのホイールで11sは使える。(10s専用フリーなんていう奇特な規格は当然除く)もちろんこれには条件があって、まず無加工では無理。無加工で11sスプロケを嵌めるとトップギアはスプラインに噛まないので。また、アメクラのようなロー側に逃げのないフリー形状だと無理な気がする。(未検証)
(※3/20追記 まともに考えれば下記凸部分を全周削ればいいだけの話だった。)

するとじゃあフリーかスプロケを削るかって事になる。ただフリーはスチール製のものが多く、数mmとは言え削るのは大変なのでスプロケのスパイダーを削ることにした。


削りました。
ちなみにCS-6800。 安くてよい。
68アルテはロー側のフリーと接触するところにぐるっとリング状の凸がある。フリー側はスプラインの凸になっている部分の根本に山が高くなっている部分があるが、要するにそこに接触しないようにしてスプロケをさらにロー側に押し込んじゃおうということ。
ちなみにこれでおよそ1mm程度削っている。8sフリーと11sフリーの幅の差は1.8mmであるが残りの0.8mmに関してはトップ側で吸収してもらうことにする。

この加工でトップギアは問題なくスプラインと噛み合いうことができ、1.8mmをすべてロー側で吸収しないのでローギアに入れた時にRDとスポークが接触するリスクが低くなる。もちろんこれは組み合わせにもよるので何とも言えないが。ちなみに試したホイールはボントレのハブと38mmリムを14Gプレーンスポークで組んだもの。
現状問題もないのでお試し程度ならありかな、という感じ。

(※3/20追記 上で部分的に1mmほど削ったと書いたが、 これは単に横着しただけで全周削って不具合があるということではない。むしろ全周削ってしまえば10sスペーサー(8sフリーに10sスプロケを入れるための1mmのスペーサー)と併せて使うことで11sフリーにも使うことが出来る。ただその場合は8sフリーに入れた場合とトップ位置が変わるのでリセッティングが必要になるが。ホイール間での互換が欲しいなら更にロー側に10sスペーサを追加すればいい。ただしフレームに依ってはトップ側で干渉が起こってしまうかも。)
(※4/24追記 11sを使う方法について整理してまとめたのでこちらも良かったら→リンク

SRAM GXPクランクに関して

知っている人は知っているがGXPのBBはドライブ側ベアリング内径:24mmであり非ドライブ側ベアリング内径:22mmである。ゆえにクランクアクスルに段が付いているわけだが、組み付ける際に注意したいのはクランクのガタをとっているのは非ドライブ側ベアリングのみであり、ドライブ側のベアリングとクランクは接触していないのである。したがって、BBシェルの精度には依存せず、クランクとBBのみの精度でクランクの組み付け精度が決定される事になる。
(もちろんその許容限度を超えれば接触してしまうわけだが。)

ここを勘違いしている人がまれにいて、ガタをとるためのワッシャーをドライブ側に入れたり、あるいはクランクのガタが取れないのはフレームが悪いなどと言っていたりする。しかし実際には上でも書いたようにクランクとBBで組み付け精度は決定されるし、いくら締め付けてもガタが取れない場合は非ドライブ側にワッシャーを入れるのが正解である。